フィトケミカルとは?
紫外線や動物、鳥、昆虫などの天敵や雑菌など有害なものから身を守るために植物自身がつくり出した色素や香り、辛味、苦味、アクなどの成分のことです。
必須栄養素ではないものが多いですが、人の健康を維持するさまざまな働きがあることが研究で明らかにされています。
主に、植物の色素やアクに代表されるポリフェノール、緑黄色野菜の黄色、橙色、赤色に代表されるカロテノイド、刺激のある香りや辛みに代表される含硫化合物などに分けられます。
<参考>NEWS & COMMUNICATION365号
代表的な成分と働き
①ポリフェノール
クロロゲン酸
・細胞を酸化させて傷つけ、老化を早めたり、生活習慣病の引き金となる活性酸素を消去してくれる強い抗酸化作用を持つ。
・高血圧や、がん、動脈硬化を抑制することが報告されている。
・脂肪燃焼や糖質の吸収を抑制するなど、肥満を予防する働きがあるとされる。
《代表的な食品》
プルーン、コーヒー、ごぼうなど
イソフラボン
・女性ホルモンとよく似た作用が更年期女性に注目されるように。
・更年期障害を和らげる、骨粗しょう症を予防する、コラーゲン産生を促す、前立腺疾患予防、認知症予防などが報告されている。
《代表的な食品》
大豆、大豆製品
エラジタンニン
・渋みのもととなる成分。
・コラーゲンの産生を促すと同時に、コラーゲンが分解されるのを抑える。
・活性酸素の抑制、筋肉のミトコンドリアの活性化などの作用も報告されている。
《代表的な食品》
アムラなど
プロアントシアニジン
・強い抗酸化作用を持つ。
・アレルギーの抑制、抗菌、シミのもととなるメラニンがつくられるのを抑えるなどの作用が報告されている。
《代表的な食品》
プルーン、ローズヒップ、ブドウ、りんごなど
②カロテノイド
ルテイン
・カロテノイドの一種である黄色い色素。
・視細胞に存在し、有害なブルーライトを吸収して目の健康を保つ働きがある。
《代表的な食品》
緑黄色野菜、アボカドなど
③含硫化合物
アリシン
・独特の臭いのもととなる成分で、抗菌、抗カビ作用がある。
・免疫細胞の働きを活性化し、免疫力を強化する作用がある。
《代表的な食品》
ニンニク、ネギなど
<参考>NEWS & COMMUNICATION365号
上手なとり方
フィトケミカルは種類によって働きが異なります。色々な食材をとることで、多くの種類を摂取するようにしましょう。
●旬の野菜を色とりどりに
野菜や果物の色はフィトケミカルの種類の違いであることが多いので、色を意識することで異なる種類がとれます。
●調理法にバラエティを
生で食べた方が吸収率が良い成分と、油脂や酢と一緒にとったり、加熱することで吸収率が高まる成分があります。
●間食にもとり入れて
ドライフルーツなど手軽にとり入れられるものも。
●水に長くさらさない
水に溶け出してしまう成分もあります。野菜のアクもフィトケミカルの一種です。
●皮まで丸ごと
皮の方が総じて含有量が多いといわれます。
※NEWS&COMMUNICATIONは三基商事㈱が会員様向けに発行している情報誌です。
ミキプルーン総合研究所研究レポート
[フィトケミカル]
[フィトケミカル]
ミキプルーン総合研究所が世界中の研究を調査した結果と、独自に行った研究の中で明らかにされたフィトケミカルの働きをご紹介します!
●骨の健康を高める“プルーンのポリフェノール”
「生命の実」として親しまれてきたプルーンですが、その健康効果は多岐にわたります。
その中の一つに、骨を守る働きも報告されています。
オクラホマ大学の研究者らが行った実験で、プルーンのポリフェノール(ネオクロロゲン酸、クリプトクロロゲン酸など)が骨をつくる細胞の働きを高めることが明らかになりました。
これらの成分の抗酸化作用や抗炎症作用が骨の健康にも関与していることが考えられます。
<参考>J.Nutr.Biochem.2018;55:59-67
●コラーゲンを生み出す力を高める“アムラのポリフェノール”
アーユルヴェーダで「若返りのフルーツ」と呼ばれ、約3500年前から美容と健康のために食べ続けられてきたアムラというフルーツがあります。
アムラは老化の原因ともなる活性酸素を多く消去できるエラジタンニンというポリフェノールを豊富に含みます。
さらに、アムラのポリフェノールには、抗糖化作用、血流改善作用、コラーゲン産生促進作用などがあり、総合的に美肌づくりにアプローチできることがわかっています。
【実験】
人の皮膚の線維芽細胞にアムラエキスを添加した後、48時間培養し、コラーゲン産生量を測定しました。
【結果】
何も加えない対照と比較して、コラーゲンの産生量が促進されました。
これは、アムラのポリフェノールが線維芽細胞に働きかけることで、体内でコラーゲンをつくる力を高めていることを示します。
<参考>J Ethnopharmacol. 2008;118(1):53-7