カルシウムとは?
カルシウムは体内で最も多く存在するミネラルで、体重50kgの人で約1kgもあります。
99%が骨や歯に含まれており、骨や歯をつくる材料となっています。
残り1%は血液や全身の組織に存在し、筋肉を収縮させてスムーズに動かしたり、心臓の働きを正常に保つなど、全身の健康を支えるために大切な役割を担っています。
血液中では、全身の必要なところにカルシウムがすぐに届けられるように、カルシウム濃度が常に一定に保たれています。
●体内でのカルシウムの流れ
食事から摂取したカルシウムは血液によって骨や歯に運ばれ、「蓄えられる」ことで丈夫な骨や歯がつくられます。
しかしカルシウムの摂取不足などで血液のカルシウム濃度が低下すると、カルシウムが骨や歯から「溶けだし」て血液に送り込まれます。
この骨・歯と血液の間で行われる、カルシウムの「蓄えられる」量と「溶け出す」量のバランスが取れていることが大切です。
カルシウムを充分にとれていればバランスがつり合い良好な状態に保たれますが、摂取不足だと「蓄えられる」量よりも「溶け出す」量が多くなり、骨や歯が弱ってしまうのです。
成長期の子どもは骨の成長を良好にするため、成人よりもカルシウムが多く必要です。
中高年はホルモンなどの影響で「蓄えられる」よりも「溶け出す」方が多くなりやすく、慢性的な不足が続くと骨粗しょう症になるリスクが高まります。
骨や歯だけじゃない!
心と身体を健やかに保つカルシウムの働き
心と身体を健やかに保つカルシウムの働き
カルシウムは身体のあちこちで、実に多くの働きをしています。
・身体を支える骨の材料になる。
・歯の材料になる。
・ケガなどの出血時に血を止める。
・血管を丈夫にする。
・筋肉を収縮させて、スムーズに動かす。
・ホルモンの分泌や代謝のシグナルになって、身体の諸機能を円滑にする。
・精子・卵子を活性化して、受精を助ける。
・心臓の動きを正常に保つ。
・皮膚のターンオーバーを正常に保って、美肌に。
・神経の興奮を鎮めて、心を穏やかに。
カルシウムは日本人に不足しがちな栄養素。
国民の健康状態、生活習慣や栄養素摂取量を把握するために毎年実施されている「国民健康・栄養調査」によると、カルシウムの摂取量は、厚生労働省が定める摂取基準を下回っています。
年代別に見るとほぼ全ての世代で不足しており、実は昭和22年にこの調査の前身となる「国民栄養の現状」が報告されて以来、70年以上、カルシウムは摂取基準をほとんど充したことのない、日本人に不足しがちな栄養素です。
摂取量が足りないと分かっていても長年改善できていないのは、普段の食事で補うのが大変な証拠かもしれません。尿や汗で排出されてしまうカルシウムは、毎日コツコツとることが大切です。栄養補助食品なども取り入れながらしっかり「蓄える」ことを意識しましょう。
カルシウムの上手なとり方
カルシウムは骨ごと食べられる小魚や乳製品、大豆製品、野菜、海藻などに多く含まれます。しかし、これらの食材をしっかりとったつもりでも、他の栄養素によって吸収を邪魔されてしまうことがあります。
特に下記のような場合は要注意。うっかりカルシウム不足に陥っていた、ということのないように気をつけましょう。
×過剰なリン
リンはカルシウムやマグネシウムとともに骨や歯をつくる成分ですが、とり過ぎるとカルシウムの吸収を阻害してしまう性質があります。インスタント食品やスナック菓子などの加工食品に多く含まれるので注意しましょう。
×塩分のとりすぎ
塩分をたくさんとると、余分なナトリウムが尿中に排出されます。その時にカルシウムも一緒に排出されてしまうため、カルシウム不足を引き起こし、悪影響を与えます。
◎プラスに働く組み合わせ
カルシウムと相性の良い栄養素もあります。ちょっとした心がけで、より効果的に活用できます。
野菜や海藻類などに多く含まれるマグネシウムは、カルシウムが骨や歯を作る際の相棒に。
プルーンなどに含まれる有機酸はカルシウムの腸の中での溶解性を高めることで吸収を助けます。
ビタミンDはカルシウムの吸収を助け、血中カルシウム濃度を維持する働きがあります。イワシなどの魚やきのこ類に多く含まれるほか、紫外線に当たることで体内でつくられるため、適度な日光浴が効果的です。
<参考>リプル105号、NEWS&COMMUNICATION 350号
※上記は三基商事㈱が会員様向けに発行している情報誌です。