大豆のルーツは、満州・シベリア説と中国華南説が有力とされています。史実によると、紀元前4~2世紀ごろに北方から伝わり、異国産の豆「えびす豆」といわれていたようです。日本へは縄文時代に伝来し、弥生時代に水稲とともに広がったとされています。数多いマメ科植物の中で、東アジアでは主に大豆が栽培されていました。味噌や醤油など、東アジアで特色ある食文化が築かれたのもこんなことが関係しているのです。
●日本民族の伝統的な食材として大活躍!
●たんぱく質含有量は肉類や卵とほぼ同じ
大豆の主成分は、たんぱく質と脂質、糖質で、各種ビタミン・ミネラルなどの栄養素もバランスよく含まれています。特にたんぱく質含有量は植物性の食品には珍しく、30%以上。これは肉類や卵とほぼ同じです。「畑の肉」と呼ばれるほど、栄養豊富な食品です。
《たんぱく質が「身体」をつくる!》
私たちの身体は、筋肉や骨、皮膚や髪、血液など、たくさんの器官で構成されています。これらの器官の材料となって身体をつくる栄養素がたんぱく質です。
たんぱく質にはそれぞれ、代謝を促したり、免疫力を高めたり、筋肉を強化したり、というさまざまな働きがあります。神経の働きにも関わっているので、いきいきとした心身の健康を支えています。
また、ハリのある肌や強くしなやかな骨をつくる働きもあり、美しさのためにもなくてはならない栄養素です。
●大豆のたんぱく質は「アミノ酸スコア」が100
一口にたんぱく質といっても、食品により、栄養価は異なります。それを分かりやすく数字に表したものが「アミノ酸スコア」です。アミノ酸スコアは、いわばたんぱく質の成績表のようなもので、アミノ酸スコアが100に近いほど、優れたたんぱく質と言ってよいでしょう。大豆のたんぱく質はアミノ酸スコアが100。他には鶏肉、豚肉、牛肉、いわし、サンマ、卵などがありますが、動物性食品がほとんどで、植物性でこれだけ優秀な成績のたんぱく質を含む食品は珍しいのです。
●大豆はノンコレステロールでヘルシー
アミノ酸スコアが100の食品は動物性が多くなります。たんぱく質が必要だからといってスコアの高い肉類に偏ると、飽和脂肪酸やコレステロールのとり過ぎになりがちです。コレステロールを含まない、ヘルシーな大豆を上手に取り入れましょう。
●メタボ予防にも!
大豆たんぱくには、食欲を抑制して食べ過ぎを防ぐ作用や、基礎代謝を上げて太りにくい体質にする作用、血中コレステロール・中性脂肪・血糖値・血圧の低下作用が報告されており、メタボリックシンドロームの予防効果が期待できます。
●成長期の子どもにもぴったり!
身体がつくられる成長期には、質のよいたんぱく質をしっかりとることが大切です。一方で、子どもの肥満や生活習慣病が増加しているという事実も。とは言え、食べ盛りの時期は十分に食べさせてあげたいもの。肉類や乳製品の食べ過ぎに注意し、植物性の大豆で上手にたんぱく質を補うのがオススメです。例えば、おやつはスナック菓子や甘いものばかりでなく、大豆やきな粉を使ったものにするなどの工夫をしてあげましょう。
●高齢者にも食べやすい貴重なたんぱく源
年齢とともに消化能力は衰え、脂っこいものや、たくさんの量を食べにくくなってきます。実際に高齢になると一日の活動量が減り、必要なエネルギー摂取量も少なくなります。ところが、たんぱく質は年齢に関係なくほぼ一定量をとらなくてはなりません。
低カロリーで高たんぱくな大豆は、食が細くなりがちな高齢者にとっても食べやすく、貴重なたんぱく源となります。
〈年齢別エネルギーとたんぱく質の必要量〉
大豆にはたんぱく質の他にも、様々な栄養素がバランスよく含まれています。
●ビタミンB群が疲労回復をサポート
ビタミンB群は、たんぱく質、脂質、糖質の3大栄養素からエネルギーをつくる「代謝」に関わっています。
3大栄養素はいきいきとした毎日を送るために重要な栄養素です。身体の疲れだけでなく、肌の疲れ対策にも◎。
●レシチンが若々しい脳をキープ
レシチンは細胞を活性化する働きがあります。血管の内側についたコレステロールを減らすので血行改善にも良い成分です。老化対策や認知症予防のためにも、毎日の生活の中で意識的にとりたい栄養素です。
●イソフラボンでしなやかに女性らしく
イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをもつ抗酸化物質として注目を集める成分です。顔のほてりなどの更年期障害の症状を緩和することが報告されています。また、骨粗しょう症の予防にもおすすめです。
●食物繊維で腸内環境 すこやか!
大豆は食物繊維も豊富です。第6の栄養素ともいわれる食物繊維は、便秘に悩む女性は特に積極的にとりたい栄養素です。腸内環境を整え、体内の余分なものや有害物質の排出を促します。肥満や糖尿病などの生活習慣病予防にも役立ちます。
栄養豊富で、日本の食文化の中でも大切な役割を担っている大豆。しかし、近年、食の多様化によって摂取量が減っています。古くから日本人が食べ続けてきた大豆のチカラを、積極的に健康に役立てていきましょう。
良質なたんぱく質源で畑の肉とも呼ばれる大豆は、環境負荷が少なく、同じ広さの土地から生産できるたんぱく質の量は牛肉の約18倍とも言われています。
<参考>リプル112号
※リプルは三基商事㈱が会員様向けに発行している情報誌です。